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軽井沢スキーバス転落事故

 曲がったことが嫌いな人は少ない。
 カーブロマンなのである。
 傾斜が心地良いのである。
 不安定な圧迫感が何とも言えないのである。
 ちょっと傾くだけでいいのである。
 乗り物を運転する者にとって、これほど簡単に導き出される快感はない。

 バスの運転手はプロである。
 長距離運転は気合が入るものであろう。
(今夜も安全運転だぜ!)
 安全を脅かすカーブが襲ってくる度に、
(来るなら来やがれ!全部こなしてやるぜ!)
 と、巧みなプロ技で何十もの難関カーブを突破していったことであろう。
(俺って天才?)
 そんな心のスキに、あの何でもないカーブが入り込んでしまった。
(ああっ!ここでかよっ!)
 運転手は悔しがったに違いない。

 もっと悔しかったのは、スキーヤーの方々であろう。
 彼らこそ、巧みにカーブをこなしてきた猛者の方々である。
 最期のカーブを見て、彼らはどう思ったであろうか?
(どうしてこんなカーブに……。こんな相手、僕なら瞬殺だった……)
 人間というものは、自分で失敗するより、他人に任せて失敗するほうが後悔するものである。
 しかし彼らはもう、後悔することすらできなくなってしまった……。
 合掌。

 いや、カーブのロマンは終わるまい。
 カーブのロマンはあの世に逝ったぐらいで終わっちゃうほど薄っぺらいものではあるまい。
 きっと向こうでも、彼らはカーブ談議に花を咲かせていることであろう。
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